症例紹介(症例と治療例)

歯槽骨が薄い、開咬を伴うAngle I級叢生 / 33歳11ヶ月 
女性

治療開始時年齢 33歳11ヶ月
主訴 前歯の配列。前歯で物が噛みきれない。
診断 歯槽骨が薄い、開咬を伴うAngle I級叢生
治療内容 上顎を骨格的に拡大した後、歯槽骨再生術を行って矯正治療。矯正治療後臼歯部補綴処置が必要。
治療装置 Invisalign, MSE, PAOO
治療期間 4年
リスク 矯正治療による歯の移動に伴う痛み、歯根吸収、虫歯
費用 115万円 (PAOOの費用は歯周病専門医にて別費用)

治療前

治療後

マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置
(製品名インビザライン® 完成物薬機法対象外)

インビザライン®は米アラインテクノロジー社の製品の商標です。インビザラインによる矯正治療は、より一般的にはアライナー矯正と呼ばれており、日本ではマウスピース矯正などとも呼ばれています。このアライナー矯正を行うための装置はインビザラインに限らず、世界では大小60以上もの会社が販売しており、最近ではアメリカ矯正歯科医会総会でも1/3程度がアライナー矯正の話題を占めます。その中でもアラインテクノロジー社のインビザラインは世界最大シェアを誇り、これまでに(2020年10月時点)全世界で900万症例以上が治療されています(日本のすべての矯正患者数はワイヤー矯正を合わせても年間30万人程度と言われています)。イースマイル国際矯正歯科では2001年の開業以来、マルチブラケット装置で治療してきましたが、2015年以降はほとんどの症例をこのインビザラインで行ってきました。

一方、日本ではこのインビザライン は厚生労働省の薬事承認された医療機器ではなく、雑品扱いとなっています。本サイトでインビザライン による治療のことを『マウスピース矯正治療(インビザライン ・薬機法対象外)』として表現しているのはそのためです。なぜでしょうか?

日本で『医療機器としての矯正装置』と認められるものは、1) 薬事承認されている材料を使って、2)日本の国家資格を持つ歯科医師か歯科技工士が製作したものか、3) 既製品であればそのものが薬事承認されていなければなりません。

インビザラインはカスタムメイドであり、既製品ではありませんので3)には該当しません。ですので1)と2)を満たさなければ医療機器として日本の法律では認められません。

材料そのものは薬事承認されており口の中に入れて問題のあるものではありませんので1)はクリアしています。 製作においては治療を担当する歯科医師が患者さんに合わせて処方したものをインターネットを介して米アラインテクノロジー社にオーダーし、コスタリカにある工場でロボットが作ります。つまり、設計は歯科医師がしますが実際に作るのは日本の国家資格を持つ歯科医師でも歯科技工士でもないロボットが海外で作りますので、これは医療機器法の対象とはなりません。医療機器法対象外ですので医薬品副作用被害救済制度の対象ともなりません。

以上の事情から、日本においてインビザラインで治療をする場合、医師はこれらのことを患者に説明し、同意をいただく必要があります。イースマイル国際矯正歯科ではこれらを使って矯正歯科治療を行う場合、すべての患者さんに以上のことを説明し、書面にて同意を得てから治療を行なっています。

治療内容、およびメリット・デメリットについて

治療内容

イースマイル国際矯正歯科で行う矯正治療は、マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置のみで行われるわけではなく、矯正歯科医の診断の元、固定式の装置や取り外し式の装置など、それぞれの患者さんに合わせて最適と思われるものを組み合わせて行われます。
固定式の装置は外れることがあり、付け直しが必要になる場合があります。
取り外しの装置は適切な方法にて十分な時間装着する必要があり、例えばマウスピース型矯正装置(インビザライン)であれば1日20時間以上の装着をして、3〜10日ごとにご自身で交換していただく自己管理が重要です。

治療にかかる費用

イースマイル国際矯正歯科での矯正治療にかかる費用は全て自費診療(保険適応外)となります。永久歯列期以降〜大人の治療で1,100,000円〜1,300,000円、乳歯列期〜混合歯列期の初期治療で600,000円〜700,000円です。初期治療から大人の治療に移行する場合は、大人の治療費用の差額がかかります。

考えられるリスク・注意点

矯正治療も他の医療と同じくリスクがあります。代表的なものは、治療中の歯の痛み、歯根吸収や歯肉退縮、顎関節の不調、清掃不良による齲蝕や歯周病などです。矯正治療はドクターと患者さんの協力で行う治療ですので、必ずしも治療が全て成功するわけではなく、不完全な状態で治療終了せざるを得ない場合もあり、治療結果が保証されるものではありません。これらのリスクや副作用は、患者さんが支持を守らなかった場合に特に大きくなる傾向があります。(例:指示通りに歯磨きやフロスをされなかった場合に歯周病やう蝕を作ってしまう、アライナーの使用時間が不足していた場合に十分な歯の移動が得られないなど)また、治療後は保定装置の使用が推奨され、適切に使われなかった場合は後戻りのリスクが大きくなります。