矯正最新情報

3Dプリンター と矯正治療

筒井 万里子 矯正歯科医

2018.06.12

             
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こんにちは、歯科医師の筒井です。

皆さんは日常生活のあらゆる場面でデジタル化が進んでいることを感じることがありますか?

デジタルのデータをそのままプリンティングして立体の製品を作りだす3Dプリンターの進化も製造業を中心に目覚ましく発展しており、
近年、その機能や性能はますます向上し、従来より迅速で安価、高品質なものづくりに貢献しています。

そんな中、最近、私が感動したのは1軒の家を作りだすことができる大型の3Dプリンター。

不便な場所にあるテントや小屋を作り変えて、より多くの貧困家庭に安全な家を提供したいと願うアメリカの非営利団体と住宅メーカーの提携で実現した新しい3Dプリンターハウスは、1棟を立てるのに半日から1日しかかからず、

しかもその建築費は1棟約4000ドル(約42万円)とのことです。これだけしっかりした家が半日で出来上がり、コストも抑えられるとは凄いですね。

 

上記の映像(出典 YouTube ) を見ると、面白いほどサクサクを軽快に家が出来上がっていき、気持ちよさを感じます。

家ほどの大型なものを作れると3Dプリンターが出現している一方で、
歯科医療で用いられる3Dプリンター はより精密で細部を 精密に再現できる能力が求められます

マウスピース型の矯正治療はこのプリンターの進化とともに発展してきた矯正治療の方法とも言えると思います。

マウスピース型矯正治療(インビザライン 薬機法対象外)に使用されるマウスピースは口の中をスキャンした情報から
患者さん個々の治療シミュレーションを作製し、その治療計画をもとに光造形法(Strereolithography)の3Dプリンターで作成されます。
人によって治療に必要なマウスピースの数は大きく変わりますが、世界中の患者さんの為に作製されるマウスピースは
メキシコにあるアラインテクノロジー社(矯正治療のためのマウスピース、インビザライン を提供する会社)の工場で作製され、
その数は1日に220,000枚以上にのぼります。
すごい莫大な数ですね。

↑マウスピースを作製する工場の様子 (出典:YouTube Align Technology Video 2017より)


歯科業界でもデジタル化の波は押し寄せており、
『デジタルデンティストリー』という分野が新しく築かれつつあります。

今までいろいろな材料や器具を使い、人の手で手間暇かけて行っていたことが、

情報をデジタル化することで、全ての工程において格段にスピードが上がり、

何度も行う型どり、模型作製、装置作製の工程が集約され、

治療プランニングがより視覚的に容易に行うことができ、

治療の方法が大きく変わり、選択肢も格段に増えました

 

医療のデジタル化はいい事づくしの様です。

ただ、デジタル化が従来の治療精度を上回るものになるようには

その情報を扱う者の熟練したスキルが非常に重要になってきます。
そして、失敗が許されない医療では安全性が何よりも重要視されます。

機械まかせで治療の全てがうまくいく、そんな美味しい話はまだありません。

矯正治療に必要な知識は膨大にあり、その知識とデジタルを上手く融合して治療をスムーズに

より理想的な治療結果をだしていくにはドクターおよびスタッフのたゆまぬ努力が必要です。

そして、デジタル化の恩恵を最大限にうける為には患者さんの努力が何よりも大切です。

Continuity is the father of success!

 

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