最新矯正歯科事情

前歯が噛まない「開咬」は、歯を動かすだけで大丈夫?

2026.10.15

             
  •          

舌の使い方を整える「MFT」が大切な理由

「前歯が噛み合っていませんね」

「飲み込むときに、舌が前に出ていますね」

歯科医院や健診で、このように言われたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

上下の前歯が噛み合わず、すき間ができている状態を開咬(かいこう)といいます。

開咬は、単に歯の位置だけの問題ではありません。

患者さんによっては、舌の位置や飲み込み方など、“お口の使い方”が関係していることがあります。

そこで大切になるのが、MFT(口腔筋機能療法)です。

今回は、2025年に発表された研究をもとに、開咬とMFTの関係をわかりやすくご紹介します。


2025年に「開咬とMFT」を調べた研究が発表されました

今回ご紹介するのは、2025年に『Clinical Oral Investigations』に掲載された、

“Brief orofacial myofunctional therapy and tongue pressure as prediction factors for open bite correction”

という研究です。

開咬のある32人のお子さんを、

開咬を改善する装置だけで治療するグループと、
同じ装置にMFTを組み合わせるグループ

に分けて比較しました。

その結果、前歯の噛み合わせは、どちらのグループでも同じように改善しました。

つまり、

「MFTを行えば、その分だけ歯がさらに動く」

という結果ではありませんでした。

一方で、MFTを行ったグループでは、飲み込むときの舌の働きに違いがみられました。

研究者らは、MFTを組み合わせることで、舌を前に出して飲み込むような好ましくない飲み込み方を改善する助けになる可能性を示しています。


MFTは「歯を動かすため」ではありません

ここが、MFTを考えるうえでとても大切なポイントです。

矯正装置を使えば、歯を動かして噛み合わせを整えることができます。

でも、

歯並びが変わったからといって、舌の使い方まで自動的に変わるとは限りません。

開咬の患者さんの中には、

  • 飲み込むときに舌が前へ出る
  • 普段から舌が低い位置にある
  • 前歯の間に舌が入りやすい
  • お口がぽかんと開きやすい

といった特徴がみられることがあります。

そのため、

矯正装置で「形」を整える。
MFTで「機能」を整える。

この両方が必要になる患者さんもいます。


そもそも、舌は歯並びと関係があるの?

舌は、食事や会話のときだけ働いているわけではありません。

何もしていないときにも、お口の中のどこかに舌はあります。

また、私たちは1日に何度も唾液や食べ物を飲み込みます。

そのため、

「普段、舌がどこにあるのか」

「飲み込むとき、どのように舌を動かしているのか」

は、歯並びや噛み合わせを考えるうえでも大切です。

もちろん、舌のクセだけで開咬になるわけではありません。

骨格的な特徴など、さまざまな原因が関係します。

だからこそ、歯並びだけでなく、骨格や舌・唇の使い方まで一緒に確認することが重要です。


MFTでは、どんなことをするの?

MFTでは、患者さんのお口の状態に合わせて、

正しい舌の位置を覚えること
自然に唇を閉じること
正しい飲み込み方を練習すること

などに取り組みます。

普段は、舌の位置や飲み込み方を意識することはほとんどありません。

そのため、最初は少し難しく感じる方もいます。

スポーツで正しいフォームを身につけるのと同じように、繰り返し練習しながら、自然にできる状態を目指していきます。


MFTは「宿題」ではなく、治療の一部です

MFTでは、ご自宅でもトレーニングを行っていただくことがあります。

「できる日にやればいいかな」

と思われるかもしれません。

でも、MFTが必要だと診断された患者さんにとっては、トレーニングも矯正治療の一部です。

矯正装置には、それぞれ治療上の役割があります。

MFTも同じです。

舌や唇の使い方に問題があり、それを整える必要がある場合には、MFTにもその患者さんの治療の中で大切な役割があります。

そのため、必要と診断された場合には、矯正装置をきちんと使用するのと同じように、MFTにも継続して取り組んでいただくことが大切だと考えています。


すべての方にMFTが必要なわけではありません

もちろん、矯正治療をするすべての方にMFTが必要なわけではありません。

たとえば、

  • 舌が普段から低い位置にある
  • 飲み込むときに舌が前へ出る
  • お口がぽかんと開きやすい
  • 唇を自然に閉じにくい

といった特徴がある場合には、MFTが必要かどうかを詳しく確認します。

大切なのは、

「MFTをすること」ではなく、「その患者さんにMFTが必要かどうかをきちんと診断すること」

です。


イースマイルでは、MFTをより本格的に取り入れています

イースマイルでは、歯並びだけを見るのではなく、

「なぜ、この歯並びになったのだろう?」

という背景も大切にしています。

そのため、歯の位置や骨格だけでなく、

舌は普段どこにあるのか。
どのように飲み込んでいるのか。
唇を自然に閉じられているのか。

といったお口の機能も確認し、MFTが必要な患者さんには、治療計画の一部として取り組んでいただいています。


歯並びだけでなく、「お口の使い方」も一緒に確認してみませんか?

開咬の治療というと、

「開いている前歯を閉じれば終わり」

と思われるかもしれません。

でも、その背景に舌や唇の使い方が関係していることがあります。

今回の研究でも、MFTによって開咬がより大きく改善したわけではありませんでした。

一方で、飲み込みに関係する舌の働きには違いが生まれる可能性が示されています。

だからこそイースマイルでは、

歯並びという「形」と、お口の「機能」の両方を見ること

を大切にしています。

「うちの子、前歯が噛み合っていない気がする」

「よく舌が前に出ている」

「いつもお口がぽかんと開いている」

そんな疑問があれば、まずは一度ご相談ください。

初診では、歯並びや噛み合わせだけでなく、必要に応じて舌や唇の使い方も確認しながら、MFTが必要なのか、どのような矯正治療が合っているのかを一緒に考えていきます。

「まずは今のお口の状態を知りたい」

そんな気持ちからでも大丈夫です。

歯並びだけでなく、お口の使い方まで含めて、一度確認してみませんか?


参考文献

Leal TY, Garib D, Eto H, et al.
Brief orofacial myofunctional therapy and tongue pressure as prediction factors for open bite correction: a randomized clinical trial.
Clinical Oral Investigations. 2025;29(9):407.

Oral Powerが日本を変える一覧へ
一覧へ

ToTop