
抜歯と非抜歯、どちらが正解?

有本博英 矯正歯科医
2026.01.28
― 最新の科学的根拠と、イースマイルの「オーラルパワー」という考え方 ―
「抜くか、抜かないか、それが問題」か?
矯正相談でよく聞かれるのが
「歯を抜いた方がいいですか?」「できれば抜きたくないです」「抜いて口元を下げたいです」「抜いてまで矯正をしたくないです」「絶対に抜きたくない」
など、抜歯(特に小臼歯抜歯)にまつわるお悩みです。
このテーマは感情論になりやすい一方で、近年、抜いた場合と抜かなかった場合で治療結果を比較した、科学的なまとめ(メタアナリシス)も出てきています。
そこで今回は、
- 現在わかっている科学的事実
- その研究の限界
- そしてイースマイルが大切にしているオーラルパワー
について、患者さん向けに分かりやすくお伝えします。
最新の研究では、何が分かっているの?
2024年、Eliasらは「小臼歯を4本抜く矯正」と「抜かない矯正」を比較した研究を多数集め、分析しました。
その結果、平均的な傾向として次のことが示されました。
抜歯矯正では、
→ 奥歯の幅がやや小さくなり、口元(唇)が後ろに下がりやすい非抜歯矯正では、
→ 治療期間がやや短い傾向がある噛み合わせの仕上がりや、笑顔の見た目は、
→ 抜歯・非抜歯で大きな差は出にくい「後戻り(長期安定性)」については、
→ 研究が少なく、どちらが有利とは断定できない
つまり、
「抜歯だから悪い」「非抜歯だから良い」
と単純に決められるものではない、というのが現在の科学的な結論です。
でも、この研究は「マルチブラケット装置(ワイヤー矯正)「だけ」で行う非抜歯治療」の結果です。
イースマイルで30年以上にわたって追求してきた非抜歯治療は
以下のようなさまざまテクニックを組み合わせて行ってきました。
- 骨格の位置付けを変える治療(顎整形治療)
- 舌・唇・頬など、筋肉の使い方の変化による受動的な拡大
- 必要に応じて、アンカーを使った確実な歯の移動(遠心移動)
- 歯周再生療法を組み合わせた治療
これらを組み合わせると、
「従来は抜歯が必要」と言われたケースでも、非抜歯で治療できる可能性が高まる
場合があります。
つまり、
「非抜歯」と一言で言っても、
どんな方法で行うかによって、結果は大きく変わる
ということです。
特に成長期に合わせて歯列を発達させる治療では、私たちがMAGICと呼ぶような大きな変化を得られることがあり、しかも長期安定が得られています。
イースマイルが大切にしている「オーラルパワー」
イースマイルでは、単に抜歯・非抜歯ではなく
矯正治療のゴールを
オーラルパワーのバランスを最大化する
という考え方で捉えています。
オーラルパワーとは、
- 機能性:しっかり噛める
- 審美性:自然で美しい口元
- 持続性:治療後も安定しやすい
この3つの総合力です。
歯並びは「並べる」だけでなく、
それを支える顎・筋肉・噛み合わせ・習慣が整ってこそ、長持ちします。
なぜ「奥歯(臼歯)」の位置が重要なのか?
矯正では前歯が注目されがちですが、
実は奥歯の位置は、
- 噛む力の安定
- 顎のバランス
- 治療後の後戻り
に深く関係します。
イースマイルでは、
臼歯の位置を大切にした診断を行い、
- 成長期の骨格へのアプローチ
- 筋活動を変化させることによる受動拡大
- アンカーを使った歯体移動
を組み合わせて、
オーラルパワーが高まるような治療設計を行います。
まとめ
- 抜歯・非抜歯に「絶対の正解」はなく、手段に過ぎません。
- 科学的にも、結果は症例ごとに異なります。
- 大切なのは、
あなたの顎・歯・筋肉・成長を総合的に診たうえでの個別診断
イースマイルでは、
「抜くか、抜かないか」ではなく、
“しっかり噛めて、自然にきれいで、長期に安定するか”
という視点を中心に診断しています。
「オーラルパワー」の3要素を一人ひとりの患者さんの個性に合わせたバランスで最大化することが、私たちのゴールです。
