診療案内 / MOOによる非抜歯矯正

MOOフィロソフィーによる非抜歯矯正治療

MOOフィロソフィーは、非抜歯治療における伝説的ドクター、ボストン大学の臨床教授だったノーマン=セトリンと
その弟子のラファエル=グリーンフィールドの流れをくんだ非抜歯矯正治療の方法です。
『非抜歯矯正』と言えば、床矯正などで無理に拡大したり、かえって出っ歯になるなどという批判がありますが、
MOOは単なる拡大非抜歯矯正治療とは異なります。

MOOフィロソフィーによる非抜歯矯正治療とは

1. MOOフィロソフィーは臼歯の位置づけを
最重要視する矯正治療。

MOOは、抜かないことを目的とする方法ではありません。臼歯の位置付けを最初に立て直すことで、多くの場合、小臼歯を抜く必要がなくなる、という方法です。
成長期の子供から矯正治療を開始した場合は約95%、すべて永久歯に生え変わった後の大人の矯正治療でも約80%くらいの患者さんは小臼歯非抜歯で治療されています。
臼歯を立て直した上で抜歯した方が良いという場合は、抜歯をして治療しますので、小臼歯抜歯を否定するものではありません。
[ 注:第3大臼歯(親知らず)は矯正治療に関わらず抜歯しなければならないことがほとんどです。 ]

2002年、アメリカ矯正歯科医会でMOO非抜歯矯正治療に関する招待講演。中央は恩師のグリーンフィールド先生

2002年、アメリカ矯正歯科医会でMOO非抜歯矯正治療に関する招待講演。中央は恩師のグリーンフィールド先生

2. 筋肉の再教育と、安定した噛み合わせ

歯ならびは、歯の外側(唇や頬)の筋肉と,歯の内側(舌)の筋肉とのバランスが取れたところで安定しています。もし、単に歯ならびを広げて歯を抜かずに並べても、この筋肉の働きがそのままだと後戻りを起こすリスクが高くなります。MOOフィロソフィーでは、この筋肉の再教育を重要視しています。MOOフィロソフィーのベースとなっているボストン大学のノーマン=セトリン先生の症例は、他のやり方で治療したケースとは明らかに違う、傑出した長期安定性を示すことが明らかになっています。
Cetlin NM, Spena R, Vanarsdall RL Jr. Nonextraction Treatment. In, Orthodontics: Current Principles and Techniques. Edited by Graber TM, Vanarsdall RL Jr. Third ed. 2000. 749-777.

3. 臼歯を真っ直ぐに立て直すという
アンチエイジング

歯並びは一生を通じて変化します。若い時に綺麗な歯ならびだったという人でも、年をとるとだんだん変化していきます。
どのように変化するかというと、

  1. 奥歯が手前に、内側に倒れこむ
  2. 下の前歯が重なり、噛み合わせが深くなる
  3. 上の前歯がだんだん出てくる。

歯周病になると、これらの位置変化は加速します。私たちはこれを加速加齢と呼んでいます。
ところが、ほとんどの歯並びの悪い状態をよく見ると、上記のような症状が見られるのです。特に、奥歯の倒れこみは、歯の発育上の問題と、加齢による位置変化の両方の性質を持っています。MOOフィロソフィーに基づく矯正治療は、この傾いた奥歯を、筋肉のバランスをとりながらまっすぐ立て直すところから治療を始めます。つまり、正常な発育を助けるという意味と、加齢変化とは逆の方向への歯の位置付けの立て直しです。これが、MOOが真のアンチエイジングな矯正治療*と言われる所以です。
*2015年日本アンチエイジング歯科学会講演より

Henrikson 2001より。矯正治療をしていない正常な歯ならびの、13歳から31歳にわたる加齢変化。年齢とともに歯が手前に傾斜している。

4. Full Bloomed Smile

顔の骨格を支える奥歯がしっかりと直立することで、顔全体のバランスが整い、魅力的な笑顔へとつながります。スマイルの魅力に関する研究では、笑った時に口の端から端まできっちりと歯が見えるFull Smile が魅力的と感じられるという結果が出ています。MOOフィロソフィーに基づく矯正治療はまさにそのようなスマイルが組み込まれた治療方法です。

非抜歯矯正治療のテキストを出版

院長の有本博英は、2人の盟友、賀久浩生先生、篠原範行先生とともに、2011年秋、『非抜歯矯正治療 – Molar Oriented Orthodonticsの実際(医歯薬出版社刊)』を出版しました。
これは、非抜歯矯正治療について包括的にまとめあげた日本で唯一の著書であり、元日本矯正歯科学会会長の福原先生より推薦文をいただいています。

『非抜歯による矯正治療について、これほど集中的にその理念から臨床にいたるroad mapが、見事にかつ詳細に描かれたものは、珍しい。公的な抜歯論争は1911年にスタートしたが、2011年になってその答えのひとつが『非抜歯矯正治療』として日本から発信された。非抜歯に関する先達の、ノーマン=セトリン 、ラファエル=グリーンフィールド両師の業績を凌ぐ力量を思わせる、歴史に残る1冊になるはずである。昭和大学名誉教授 福原達郎』

Cetlin 1983. 『非抜歯矯正治療』というタイトルの論文を発表

Greenfield著 賀久・有本翻訳
『非抜歯矯正』1999年
非抜歯矯正CADテクニックについて世界初の包括的な書籍