歯を動かす装置(Orthodontic Appliance)

装置について

歯を動かす装置は、歯槽骨の中で歯根を移動させるための装置です。 歯根と歯槽骨をつなぐ、歯根膜の部分で骨添窩と骨吸収が起こり、結果として歯の位置付けが変わります。

マルチブラケット

概要

一つ一つの歯の表面にブラケットと呼ばれるボタン様の装置を接着します。ブラケットにはワイヤーを通すスロットが組み込まれており、さまざまなワイヤーで歯のコントロールを行います。
ブラケットには大きく分けてエッジワイズタイプとベッグタイプがあり、現在の主流はエッジワイズタイプです。エッジワイズブラケットは現代矯正学の父と呼ばれるEdward H. Angleが今の形の基礎を1925年に発明し、”The latest and the best orthodontic appliance”と呼びました。歯の3次元的コントロールが可能で、歯冠だけでなく、歯根も動かすことが出来るため、様々な症例にも対応できます。ブラケットには金属製のものだけでなく、プラスチックやセラミックなどの審美ブラケットも存在します。さらに、歯の裏側に装着するリンガルブラケットもあり、これは裏側矯正に使用されます。各社メーカーによって、ブラケットにはさまざまな特徴が組み込まれ、多種多様な種類があります。

利点と欠点

マルチブラケット装置の利点は、固定式であり、ワイヤーの太さにより三次元的にしっかりと力をかけることができます。また、患者自身が取り外すことができないため、患者の協力状態が治療の進行に与える影響を軽減できます。
一方、欠点としては、歯磨きが難しく、歯垢や歯石がつきやすいこと、ワイヤー交換後の初期3日から1週間ほどは歯が痛むことが挙げられます。さらに、1-2ヶ月ごとの来院が必要で、装置が壊れた場合は速やかに修理が必要となります。また、ブラケットが歯の表面に装着されているため、矯正装置が目立つことも欠点の一つです。

イースマイルでは

当院では、ティップエッジブラケットを使用しています。これは、エッジワイズタイプとベッグタイプの長所を組み合わせたハイブリッドタイプのブラケットで、1986年にPeter Keslingによって発明されました。 エッジワイズブラケットは歯の三次元的なポジショニングに優れていますが、ティップエッジブラケットは歯の動きを考慮に入れたブラケットです。これは、イースマイルの矯正治療のコンセプトである、MOOの歯根を中心とした歯のリポジショニングを実現するのに有用です。

クリアアライナー

概要

クリアアライナーは、ブラケットやワイヤーを使わないマウスピース型の矯正装置です。中でもインビザラインは、現代の矯正治療の中で革新的な役割を果たしています。透明で取り外し可能なアライナーを用いて、目立たない形で歯を綺麗に整えるこの方法は、多くの患者さんに選ばれています。イースマイル国際矯正歯科では、矯正専門歯科として早くからインビザラインを取り入れ、実践と研究を進めてきました。

SHU-lider, Alislider

概要

口蓋に2本のアンカースクリューを使って完全デジタルデザインと3Dプリントで制作される、上顎臼歯の前後的な移動を行うための装置です。主に奥に寄せる(遠心移動する)ために使われます。SHU-Liderは、デュッセルドルフ大学のBenedict先生が開発したBenesiderを、同大学に留学していた山口先生(https://deutsche-dc.com/)が改良して特許を取得された装置です。見た目ほどの違和感はなく、しっかりと歯根から移動させることができ、Benesliderに比べて奥歯が広がりすぎないというコントロール性に優れています。

利点と欠点

口蓋に矯正用アンカースクリューを固定源にしているので、アンカーロスすることなく、効率的な歯の移動が可能です。歯に装着する部分は臼歯だけなので目立つことはなく、他の歯への影響もありません。
欠点としては、アンカースクリュー周りに炎症が起きて外れたりすると、最初から作り直しになることや、費用がかかることなどが挙げられます。

イースマイルでは

当院ではこうした固定式の臼歯遠心移動装置を1996年より使用しています(GMDやACCO)。SHU-Liderは固定源にアンカースクリューを使うのでより効率的な歯の動きができるようになりました。GMDのピストンシステムをこのアンカースクリューとデジタルデザインに応用して作ったのがAlisliderです。

GMD

概要

上顎臼歯の遠心移動(奥に寄せる移動)を行うための固定式の装置です。上顎臼歯のしっかりとした遠心移動は、非抜歯矯正治療を成功させるための要であり、MOOの考え方を日本に伝えたGreenfield先生が発明しました。正式名はGreenfield Molar Distalizerです。第1小臼歯と第1大臼歯にバンドを入れ、ピストン構造のチューブをつけてスライドさせます。固定源としては郊外のレジンパッドを使います。傾斜移動ではなく歯根と歯冠を水平的に動かすことができるのが大きな特徴です。臼歯を後方に移動することでスペースを確保し、臼歯のリポジショニングを行います。

利点と欠点

患者さんの協力を不要として、歯根をしっかり移動させることができます。欠点としては、移動の結果小臼歯と大臼歯の距離が大きくできるので、大臼歯遠心移動後にそのスペースを閉じる時間がかかることと、レジンパッドの裏側が汚れやすいことなどが挙げられます。

イースマイルでは

1996年にGreenfield先生に教わって以来、多くの症例で使ってきた装置です。特に成長期に入る直前くらいの患者さんでは、SHU-Liderのようなスクリューを入れることができない場合に有効で、非抜歯治療に大いに力を発揮します。

ACCO

概要

上顎臼歯の後方移動を行う可撤式(取り外しができるタイプ)の装置です。正式名はAcrylic Cervical Occipital Anchorageで、ボストン大学のMargolis先生が開発し、Greenfield先生の師匠であるCetlin先生が使っていました。
装置についているバネを調整して臼歯を後方へ移動します。前歯部にはバイトプレートという構造が付いていて、噛み合わせが深い患者さんでも臼歯をわずかに浮かせることで、より効率よく臼歯の後方移動ができます。必ずヘッドギアと併用し、歯冠と歯根の両方を後方移動することができます。

利点と欠点

取り外し式ですので清潔な状態を保てます。左右の遠心移動量も術者がコントロールできます。ただ、患者さんの協力に依存するので、正しく使用しなければ効果はありません。また、ヘッドギアもしっかり使わないと歯根が正しく移動しません。

イースマイルでは

成長期の患者さんで主に用います。歯の交換期で固定式装置がまだ使いにくい患者さんや、噛み合わせが深い患者さんなどで使用します。GMDがいいか、ACCOがいいかは患者さんの特徴を診査診断して決定します。

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